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NEC中国「2子会社を安売り」疑惑広がる
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常に控え目な日本電機株式会社(NEC)はこのほど、「資産を安売りしている」として再び広く注目を集めることになった。今月23日、NECの社員とみられる人物が微博(ウェイボー)で明らかにした情報によると、NECは子会社2社を廉価で売却しているが、社員の雇用・待遇はあと1年しか維持しないと発表したという。NECの北京、済南、西安の各支社の社員を取材した結果、発表の内容が確認された。「北京商報」が伝えた。
NEC中国法人の関係者を取材すると、事業を承継するのは大連華信計算機技術股フン有限公司(フンはにんべんに分)だという。その後、電話と面談を通じて済南、北京、西安の社員に詳しい話を聞いた。
今回、売却されるのはNEC軟件(済南)有限公司と日電卓越軟件科技(北京)有限公司。主にNECのソフトウェアのアウトソーシング事業を行っている。
大連華信は1996年5月に設立され、コンピューターアプリケーションソフトの開発、システムインテグレーション、ソフトアウトソーシングサービスなど多様な業務を手がけている。NECは大連華信の株式の5.46%を保有し、大連華信の主要顧客でもあり、売上高の8.44%を占める。また、NECソリューションイノベータ株式会社は大連華信の株式を7.44%保有している。
大連華信の発表した公告によると、NEC中国は済南公司と北京公司の株式を100%保有しており、これから両社の株式の92%を大連華信に売却し、8%は引き続き保有する予定。売却額は済南公司が5093万元(1元は約15.6円)、北京公司が3238万元だ。
関連会社の社員によると、済南公司と北京公司の価値は8千万元程度ではあり得ず、NECは資産を「安売り」すると同時に、1億6千万元の収益も持っていき、売却を急いでいることは明らかだという。
注目されるのは、NEC中国はこの2社に2つの約束をしたことだ。すべての社員との雇用関係および待遇を1年間維持するという約束、今後3年間のアウトソーシング契約の契約額についての約束だ。
北京公司の社員の話では、同社には昔からいて会社側と長期の雇用契約を結んでいる社員が多い。NEC中国が保証する雇用契約は1年しか維持されないということで、社員たちは1年後に退職を迫られることになる可能性が高い。
現時点で、NEC中国は公式なコメントを発表していない。NEC社長サイドに取材のメールを送り、事態の進展状況を聞こうとしたが、まだ具体的な回答はない。
北京公司の稲田剛社長が今月20日、2社の社員にメールを送り、売却について通知したという。翌21日には、NEC中国の代表および大連華信の代表が済南公司のオフィスに姿をみせ、集会で全社員に通知を行った。関係者の予想では、今週月曜日と火曜日にNEC中国の代表が北京と西安の社員に通知を行うという。
実際、NEC中国の資産売却には予兆があった。社員の一人は、「昨年8月、うちの会社で大規模なリストラが行われ、社員の半分近くがリストラされた。その時は『N+2』(基本の退職金に2ヶ月分の給与を加算)の基準で賠償金が支払われた。今考えると、会社は早くから資産売却を考えていたが、影響を少なくするため、まずリストラで社員を減らした可能性がある」と話す。
ここ数年、NECはハードウェア事業の縮小を進めていた。最も注目を集めたのは2011年、聯想(レノボ)集団にPC事業を1億7500万ドル(1ドルは約107.5円)で売却したことで、その際にほぼすべての合弁会社の株式をレノボに譲渡した。
NEC子会社の業績はそれほど楽観できるものではない。昨年の北京公司の業績は赤字で、同年8月には社員の半数近くをリストラした。同社の社員は、「NECの今回の動きはここ数年の中国での人件費や賃貸料などのコスト上昇と関係があるのかもしれない。株式譲渡方式で会社の資産を転売すれば、社員への賠償をうまく免れることができる」と分析する。
「人民網日本語版」