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商品配送先住所から垣間見れる新たな人口流動すう勢
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転職や転居を終え、落ち着いてからまずしなければならない事の一つとして、宅配の商品配送先住所を変更することが挙げられるだろう。京東デジタル科技集団がこのほど発表した「2019年京東ビッグデータに基づく中国の人口流動と都市化発展に関する研究報告(以下、『報告』)」が、広く世間の注目を浴びている。
新一線都市への人口流入に勢い
京東デジタル科技集団の副総裁兼チーフエコノミストを務める沈建光氏は、「これまである世帯が引っ越したり、別の地域で働くようになったかを知ろうとするのは非常に困難で、その調査や統計も非常に難しかった。だが今は、電子商取引プラットフォームのビッグデータの助けを得て、ある人が商品配送先住所を変更するか否かによって、転居したのかどうかを基本的に判断することができる。このように人口流動のすう勢をめぐる研究は人々の暮らしとさらに密接にかかわるようになってきている」と指摘した。
「ビッグデータ研究における一つのデメリットは、国家統計局が実施するような、全国規模あるいは全市規模でのサンプリング調査ができないことだ。『報告』で述べられているのは厳密には人口流動状況に対する重要な補充的内容にとどまっている」と沈氏は続けた。
「報告」から見てとれる現在の中国人口流動における3つの特徴
1.ある一定の程度において一線都市の「人材バンク」となっている北京
「報告」からここ2年ほどで、「商品配送先住所」が、北京から他の住所に移されているケースが多数見られた。新しい配送先住所を見ると、依然として他の一線都市を指定している人がかなり多い。「報告」によると、北京から転居する人は、北京の周辺地に移り住むのではなく、転出先は全国各地に広がっている。一線都市のうち、上海、広州、深センに移り住む人の転居前の住所は、北京が最も多い。分析によると、長江デルタ・珠江デルタ都市圏に比べ、北京・天津・河北エリア都市クラスターの特徴は比較的弱く、都市クラスターの形成も比較的緩慢なことがその原因とみられている。
2.杭州や成都など新一線都市への人口流入に強い勢い
「報告」から杭州、成都、重慶、長沙各都市への人口流入の勢いに強い勢いをみることができる。なかでも成都や青島は大きな都市圏効果と周辺都市に対する輻射効果を備えている。それに比べ、武漢や長沙、大連、瀋陽、哈爾浜(ハルビン)各都市の都市圏効果はそれほど顕著ではない。「報告」では、人口流入の勢いが強い都市は所得増加スピードが速く、産業アップグレードが加速し、不動産価格と年収倍率(不動産価格上昇スピード)が低く、人材政策に対する取り組みが積極的といった特徴を備えていると指摘している。また、これらの都市は、住民所得の増加や戸籍・教育・医療・高齢化事業の完備などの関連政策にも力を入れている。
3.低迷していた低線都市の消費市場が備える大きな潜在力
「報告」から低線都市を商品配送先住所に変更するケースの増加スピードは、高線都市の増加スピードを上回っており、四・五線都市の消費総額増加スピードは、他の高線都市を引き離している。強い購買力を備えた多くの人々が高線都市から低線都市へと流入する傾向が、低線都市の消費の繁栄と消費構造の最適化を後押ししていることは、とくに注目に値する。
多様化が進む居住都市の選択基準
ミクロの視点でみると、若者が居住都市を選ぶ際、どのような考え方から判断するのだろうか?
【ビジネスチャンスを重視する場合】
ビジネスチャンスを重視した場合、一線都市が確かな選択肢となる。河北省邢台市出身の楊志聡さん(男性)は、2016年に大学院を卒業後、北京で就職した。その後3年間で2回転職したが、北京でキャリア発展を続けるという姿勢を変えることは無かった。楊さんはその理由について、「北京には優れた資源が集中しており、就職ポストの選択肢も広い。実家からも近い上、生活も非常に便利だ。北京の生活リズムはとても速いが、ここでは充実した気持ちで暮らしていける。進歩するスピードももっと速い」とした。
【仕事と暮らしの快適さを重視する場合】
仕事と暮らしの快適さを重視している重慶出身の夏子傑さん(女性)は、不動産企業の重慶支社で働いている。名門大学を卒業した彼女は、「私も北京・上海・広州・深センなど一線都市の華やかさやスピーディなリズムに憧れていたが、郷里でキャリア発展を目指したことに後悔はしていない。一線都市の不動産価格は異常なほど高く、就職のチャンスは多いが生活におけるプレッシャーもまた大きい。重慶は、数年前から非常に良い発展すう勢を見せており、旧知の親戚や友人も多い。食生活も居住空間においても重慶は私のライフスタイルに非常に良くマッチしている」とした。
【専門分野にマッチした就職先を重視する場合】
なかには専門分野にマッチした就職先を重視する人もいる。天津工業大学4年の頼志文さんは、卒業後の就職先について、ずっと考えているという。頼さんは、「周囲の状況を見ると、若い人が居住地を選択するカギを握るのは、その人の育った環境に影響されている。たとえば、大都市出身の若者の多くは、キャリア向上のために妥協することを厭わない。自分が良く知っている都市に住み続けているという優位性があるため、そこで生き延びる難易度は、別の場所からやって来た若者よりも明らかに低い。これに対し、農村や小都市出身の若者は、専門でのキャリア発展に有利で、速やかに都市に根を下ろすことができるという理由で、その都市が『自分の専攻にマッチした』仕事を提供してくれるか否かをより重視する。若者はいまでは総合的な検討をするようになり、ある都市に対して極端にこだわる人や盲目的に追従する人はますます少なくなってきている」との見方を示した。
こうした選択基準だけでなく、家賃や交通、気候、飲食、戸籍政策なども、人々が「安らかに暮らし楽しく働く」場所を選択する上での重要な要素となっている。複合的な要素が総合的に作用して、人口流動のすう勢に影響を及ぼしているのだ。
「人民網日本語版」